seeing’s diary

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失策続く稲田氏の防衛相はもう限界 --- 中村 仁

失策続く稲田氏の防衛相はもう限界 --- 中村 仁

アゴラ 3/17(金)


交代させ多難な国際情勢に備えを


 失言、失策があるたびに、野党の要求を聞き入れ、閣僚を交代させていては、首がいくつあっても足りません。

今度ばかりは、稲田防衛相に辞任してもらい、日本の国防を任せられる人に交代させるべきでしょう。森友学園問題における発言訂正のごたごたを契機に、交代させる機会にするのが賢明な選択です。

防衛問題のほうが心配なのです。


 このままでは野党の攻勢で国会が森友学園問題でくずぶり続け、予算案の審議、朝鮮半島情勢への対応、米国との通商交渉への備えなど、国会本来の重要課題にいつまでも取り組めません。

本来なら、国内の学校法人の問題で、防衛相を更迭するのは筋違いです。

安倍首相らが「本人に説明責任を果たしてもらう」ことで、通常ならば落着するのでしょう。

今度ばかりはそうはいかないのではないですか。


 火の粉が自分にも飛んできている首相は、森友学園問題を司法機関の手に委ね、国会の場から切り離したいところです。

稲田氏の防衛相として仕事ぶりも危うい限りです。

防衛相として閣僚の座にとどまっていたら、日本周辺で発生するかもしれない危機への対応に万全を期すことはできるのでしょうか。

防衛相を辞めてもらおうかと、首相周辺は考えるのではないですか。

いかにも自信なさげの表情にこちらも心配になります。一石二鳥のチャンスです。


筋が悪すぎる稲田氏


 とにかく稲田氏をめぐる動きは筋がよくないですね。

テレビのバラエティ番組向きの話が多すぎます。

森友学園の園児が復唱する教育勅語は、戦前の国家モデルの一面を構成しています。

稲田氏は「親孝行などの核の部分は取り戻すべきだと考えている」を発言しました。

そこまでいうなら、教育勅語を読み直してみたらいいですね。


 確かに「親に孝養を尽くす」、「兄弟姉妹は仲睦まじく」、「知識を養い、人格をみがく」など、今の時代にも求められる徳が列挙されています。

その一つである「自分の言動を慎む」は、稲田氏にこそ求められる徳でしょう。

森友学園の事件を受任したことも、法律相談を受けたこともない」と言い切った直後、

夫が顧問弁護士の契約を結んでいた関係で、「裁判所に出廷していた記録がある」と指摘されました。


 さらに「国会での発言は、自分の記憶に基づくもので、虚偽の発言ではない」との釈明が野党を怒らせました。

弁護士の資格を持つ国会議員なら、過去の記録を精査して国会答弁に立つべきです。

森友問題だけなら、野党の追及をかわすことはできるし、かわすべきでしょう。

野党が得点できるのは、こんな問題しかないのですから、足を引っ張られない対応が必要なのです。

重要なのは、日本の防衛問題です。


重要閣僚として経験不足


 稲田氏の対応ぶりは、危なっかしい綱渡りが続きます。

南スーダン国連平和維持活動(PKO)について、「政府軍と反政勢力の争いを戦闘行為と認めると、憲法9条に抵触しかねないので、武力衝突という言葉を使っている」と、答弁したことがあり、野党が騒ぎました。

戦闘行為を武力衝突と言い換え、その目的は憲法に波及させないため、とは。

正直というか、閣僚としての経験不足、力量不足が騒ぎを大きくしているのです。

結局、自衛隊は現地から撤退することになりました。いやはや・・。


 当選4回、党政調会長の経験しかない人物を防衛相に据えたのは、首相の任命責任でしょう。

女性議員が防衛相になれば、新しい安保法制に進んだ政権のタカ派色を薄められるとの判断によると思います。

さらに「将来の首相候補」などというレッテルも周囲が貼り、期待を持たせました。

首相は「ちょっと無理だったかなあ」と、後悔しているはずです。


 金正男殺害事件を起こし、ミサイル発射事件を繰り返している残虐、狂暴な独裁国家が何をしでかすか分かりません。

軍事的な膨張政策を続ける中国だって、尖閣諸島で紛争を起こす可能性があります。

トランプ米政権は「尖閣諸島日米安保条約の対象地域に含まれる」と約束しています。

実際に日中衝突が起きた場合、「まず波打ち際で日本が全力で対処してくれ」という態度をとり、米軍は後方支援を受け持つことなるのでしょう。


 要するに、防衛相以下、日本は臨戦態勢を常時、とっていなければならないのです。

そんな時に、防衛相が森友学園の弁護問題でつまづいているようでは、情けない。政治家としての力量不足を懸念します。

笑っているのはどこの国でしょうか。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2017年3月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログ(http://blog.goo.ne.jp/jinn-news)をご覧ください。


中村 仁