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seeing’s diary

転載は自由にどうぞ

共謀罪で日本の同人マンガが壊滅する

共謀罪は、

非実在児童ポルノを雑誌などに掲載する者と、

その雑誌などを見る者を

児童ポルノ共謀罪で逮捕する。
それは、以下の法律によって定められる。

 

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律

 

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)

第一条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。

 

(中略)

 

第六条の次に次の一条を加える。

(実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画)

第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団

(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)

の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、

 

その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、

関係場所の下見

その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、

当該各号に定める刑に処する。

 

 ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

 

 

(中略)

 

 

別表第三(第六条の二関係)

(中略)

 

八十 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第五条第一項(児童買春周旋)、

 第六条第一項(児童買春勧誘)又は第七条第六項から第八項まで(児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等)の罪

 

(以下、省略)

 

※ 法案テキストは以上です。

 

もし「共謀罪」が成立したら、私たちはどうなるか【全国民必読】 

 本来、日本国における児童買春・児童ポルノ処罰法は、実在する児童のみを保護するために立法されており、実在の児童をモデルにしていない絵が処罰対象となるはずはないのである。

 しかし、表現の自由に対し抑圧的な意見が世論の有力な一角を占めていることは事実である。

共謀罪の適用に関しても、取締機関がこれに迎合する形で摘発のターゲットを定めることは十分に考えられる。

 

 

(本情報掲載元記者のコメント) 

 

 

今後について

 既に報道されている通り、上記政府案については、テロ対策という名目であるにもかかわらず、法案内に「テロ」「テロリズム」という文言がないことが指摘されています。これについては与党内からも問題視する声があがり、テロに関する記述の追加が検討されているようなので、今後上記法案にこの点の変更が生じる可能性があります。

 

今後、逐一の変更に応じて上記内容の更新をしていけるかどうかは断言できませんが、他記事等を通じて公開できればとは考えています。

 

また、内容についても、以前共謀罪法案の問題点を指摘した記事の時点と根本的に問題は変わらない状態ですが、政府側の説明を踏まえ検討した内容を別途記事を書ければと思っています。が、いつになるかは不明です…。

 

以前書いた共謀罪(テロ等準備罪)法案の問題点についての記事は下記のものです

 

 

当記事には上記最新版の法案内容は反映していませんのでご了承ください(もっとも基本的な問題点はほとんど変わりません)。

 

 

2005年(平成17年)政府提出案

2005年(平成17年)第三次小泉内閣の時代に3度目の法案提出となった「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」において、共謀罪については以下のように規定されています。

 

(組織的な犯罪の共謀)
第六条の二
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
 一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
 二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

この条文によれば、共謀罪として処罰されるのは、

 


 

  1. 4年以上の懲役・禁錮の犯罪が
  2. その犯罪行為を実行するための組織により行われる場合に
  3. その犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意をすること

 


となります。しかし、2005年から2006年の国会継続審議の中で与党が修正案として提出した法案の最終形では下記のようになっています。

 

第六条の二
 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的な犯罪集団の活動(組織的な犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が死刑若しくは無期若しくは長期五年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪又は別表第一(第一号を除く。)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該組織的な犯罪集団に帰属するものをいう。)として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、その共謀をした者のいずれかによりその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われた場合において、当該各号に定める刑に処する。ただし、死刑又は無期若しくは長期五年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪に係るものについては、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減刑し、又は免除する。
 一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
 二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も 、前項と同様とする。
3 前二項の規定の適用に当たっては、思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず、かつ、労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。

この条文は、2005年提出の政府原案と比べて、下記の点が変更となっています。

 


 

  1. 組織の定義について、一定の重大犯罪の実行を目的とするものに限定した。
  2. 対象となる犯罪について、組織の意思決定に基づき、その効果・利益が組織に帰属するものに限定した。
  3. 共謀罪成立には、共謀だけでなく、共謀者のいずれかが犯罪準備行為を行うことが必要とした。

 


この3回目の法案提出以降、何度か法案提出の動きがあったものの実際には提出されていません。この法案を原案としつつ、その後の政府与党内の検討を経て修正された法案が提出されるものと思います。

 

与党修正案の可能性

この記事を執筆している2017.1.17時点の報道によれば、政府自民党党は強い懸念(特に連立与党である公明党)に配慮し、上記法案の内容よりも犯罪構成要件を厳しくした内容に修正して法案提出する予定と報じられています。

条文を見ないとその実質はわかりませんが、下記のような修正が行われるようです。

 


 

  1. 共謀罪成立の要件として具体的な準備行為を必要とする
  2. 共謀罪の対象となる犯罪を原案の676から300程度に減らす

 


参照:「共謀罪」対象300程度に=公明要求で絞り込み-政府:時事ドットコム

 

問題点(論点)

 

共謀罪新設の必要性(立法事実)はあるのか

立法事実とは、その法律を制定する根拠となる事実であり、その法律の合理性を支える社会的、経済的、政治的、科学的事実です。

もう少し簡単な言い方をすると、その法律が必要とされる理由となるような事実、そしてその法律の目的や手段が正当で合理的なものだと言える理由になるような事実のことです。

共謀罪(テロ等準備罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案について言えば、テロ犯罪が発生する具体的な危険があること、また、それが認められたとしてテロ犯罪の具体的な危険に現行法では十分対処できず共謀罪(テロ等準備罪)新設が必要であること、あるいは、その他特別な事情(国際関係等)により共謀罪(テロ等準備罪)新設が必要不可欠であること等です。

また、法改正の必要性が認められたとしても、その法改正の内容がその必要性・目的に照らして必要最低限の合理的なものになっているかも問題になります。

 

テロ対策の必要性

 

テロの不安

諸外国で頻発するテロ事件に関する報道を日々目にすれば、日本においてもテロ犯罪対策は必要だと感じるのは当然だと思います。また、国際テロ組織が日本を敵として認定したことや、日本で過去に起きた地下鉄サリン事件の例を想起すれば、日本がテロ犯罪に無縁ではないと考えるのも無理はないことです。

こした不安からすれば、2020年のオリンピック・パラリンピック開催との関係でテロ対策の必要性を主張する安倍首相の言葉に同意する人たちもいるでしょう。

 

安倍晋三首相は十日、共同通信社との単独インタビューに応じ、政府が通常国会に提出する方針を固めた「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に関し、成立させなければテロ対策で各国と連携する国際組織犯罪防止条約が締結されず「二○二○年東京五輪パラリンピックが開催できない」と指摘。

2017.1.11付東京新聞紙面より

しかしながらまず、以前よりも日本国内でテロが起きる現実的危険性が高まっているのかどうかについて、慎重に検討する必要があります。諸外国でテロが頻発しているから、日本国内でもテロが起きる可能性は高いだろうという抽象的な推測だけでは、国民の権利を制限する法改正の基礎となる立法事実とは言えません。現実にその危険性が高まっていることを示す事実が必要です。

これについては、少なくとも議論の際に問題となるようないわゆるテロ行為が行われた事実や、その計画が発覚したというような事実は、私の知る限りではありません。もちろん、国際情勢と無関係に考えることも出来ませんが、かといって諸外国でテロが頻発しているからというだけでは国内法の立法事実には足りません。具体的な国内におけるテロの危険性の「現実的」危険性を改正を推進する側が証明しなければなりませんが、それについて明確な説明はまだされているとは言えません。

今後の国会での議論・答弁を見ていくしかないでしょうが、現在のところは共謀罪(テロ等準備罪)の必要性の基礎となるようなテロの現実的危険性は無いように思えます。実際、これまでの法務省の説明においても、このようなテロの危険を前提にした立法の必要性はほとんど説明されず、後程述べる条約との関係での必要性のみが強調されてきたように思います。

 

現行法でテロ対策は不十分なのか

さらに、仮にテロの現実的危険性が高まっているとして(あくまでも仮定ですが)、共謀罪(テロ等準備罪)が存在しない現在の日本は、テロ対策が不十分なのでしょうか。

■ 現行法も既遂→未遂→予備→共謀と法益の重要性に応じて処罰規定を用意している

日本の刑法は、原則として法益侵害(法によって保護される利益、例えば生命・身体・財産等への侵害)が生じて(既遂)初めて犯罪が成立することを原則としています(原則として既遂処罰)。しかし、共謀罪(テロ等準備罪)新設が必要だとする立場からは、テロによって重大な結果が生じる前に摘発・処罰できなければ実効あるテロ対策は行えないということなのでしょう。

一方、日本の刑法には既遂犯処罰の例外として、法益侵害の結果が発生していなくても、その犯罪行為にとりかかり(実行の着手)があれば、法益侵害の危険性を発生させたとして処罰できる未遂犯処罰の規定があります。結果が発生する前に摘発しても一定の行為があれば摘発・処罰できます。例えば、殺人罪、放火罪、往来危険罪等をはじめとした多くの犯罪に未遂処罰の規定があります*2。しかし、テロ対策を強調する立場からすれば、それでもまだ足りない、ということなのでしょうね。実行の着手があってから摘発するのでは間に合わないと。とすれば、テロ犯罪として重大な法益侵害をもたらすような犯罪については、実行の着手がある前、つまり犯罪の準備段階でも摘発・処罰できるような法整備が必要だという主張につながります。

ところが、日本の刑法では、既遂・未遂処罰以外に、一定の重罪についてはその犯罪の準備を行う「予備」を例外的に処罰しています。例えば殺人予備罪、放火予備罪、内乱予備罪等です*3。これらは犯罪の実行に至らなくても、犯罪の予備行為を直接処罰できるものです。多くのテロ犯罪の準備行為は、殺人予備罪や放火予備罪によっても摘発・処罰は可能です。

もちろん、予備罪の成立には、その犯罪を犯す目的とともに、犯罪の実行に実質的に役に立つ準備行為が必要なので、共謀罪(テロ等準備罪)新設を主張する立場からは、それではダメなのだ、行為がなくても罰することが出来なければ足りないのだ、という主張が聞こえてきそうです。ただ、先ほど見たように、政府与党は共謀罪(テロ等準備罪)法案成立のために、「共謀罪成立の要件として具体的な準備行為を必要とする」という法案の修正を行うと報道されています。とすれば、予備罪で対応できる内容と実質的には変わらないのではないでしょうか。逆にそうではないとすると、要件追加される「具体的な準備行為」には大きな意味はないことを自白するようなものです。

また、具体的な準備行為を必要とせず「共謀」のみで成立する犯罪が現行刑法にもあります。特別重大な法益侵害の危険性のある犯罪行為については「共謀」そのものを犯罪として処罰する、という考えです。具体的には内乱陰謀罪(78条)、外患陰謀罪(88条)、私戦陰謀罪(93条)です。

 

行刑法では、原則既遂を処罰、例外的に未遂を処罰、さらにより例外として予備を処罰、そして本当に特別な場合にのみ共謀を処罰するものとしており、それらの違いは各犯罪によって侵害される法益の重要性や大きさ等を主な基準としているのです。

 

しかし、共謀罪(テロ等準備罪)法案においては当初、600を超える犯罪について「共謀」を犯罪として処罰するものとして一気に範囲を拡大しようとしています。現時点(2017.1.17)の報道では、政府与党は対象犯罪を300程度まで減らす方向で調整中とのことですが、それでも今までの刑法のあり方からすれば、相当な範囲の拡大です。 

 

テロ犯罪対策として抑止・検挙・処罰すべきなのは、我々がテロという言葉で思い浮かぶような無差別殺人、大量殺人であり、直接これらと関係のない犯罪にまで拡大する必要はないはずではないでしょうか。

 

■ 銃刀法、さらには共謀共同正犯理論によっても準備に参加した者を処罰できる

また、日本は銃砲刀剣類所持等取締法という銃砲や刀剣の所持を厳しく取り締まる法律があり、実際も諸外国に比べて厳しい運用が行われているのは周知の事実です。これによっていわゆる実際の殺人等の実行行為にいたらない、いわゆるテロ行為の準備行為を取り締まることも十分可能です。

加えて、刑法には明確な規定はないものの、判例によって共謀共同正犯理論が確立されており*4、これによれば共謀に参加しただけで直接実行行為を行っていない者の処罰も実際に行われています。

■ テロ防止に関連する国際条約で国内法上の犯罪を規定

さらに、テロ防止に関連して13の国際条約を締結*5、そのうち1つを除きすべての条約を批准して、条約上の行為を国内法上の犯罪として規定しています。これらの犯罪の中には未遂以前の段階で処罰可能なものが含まれており、テロ対策として、実行行為に至る前の準備段階で摘発・処罰できる体制があります。

 

これほどに、重大犯罪や国際テロ犯罪について、実行行為に至る前の準備段階でも摘発・処罰できる法がある現状であり、加えて近年においていわゆるテロ犯罪やテロ犯罪の準備段階について摘発された例は私の知る限りありません。これまでの法体制で対応できないような現実が我々の前に存在すると言える状況ではない、と私は思います。

 

国際組織犯罪防止条約第5条は立法事実となるのか

この点は多少込み入った話でわかりにくい部分もあるのですが、簡単に書いておきます。日弁連のサイトにこの部分の詳細説明があるので、関心があれば参考にしてください。

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:日弁連は共謀罪に反対します(共謀罪法案対策本部)

 

共謀罪を新設しないと条約が批准できないのか

国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約))は、「重大な犯罪」について共謀罪を設けることなどを求めています。

 

第5条  組織的な犯罪集団への参加の犯罪化
1 締約国は、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
(a) 次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)
 (i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
 (ii) 組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為
   a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
   b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が、自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)
(以下略)

これを受けて政府与党は、共謀罪を設けなければこの条約5条の求める義務を充たせずこの条約を批准することができない、としています。安倍首相が先ほど引用した共同通信のインタビューで「成立させなければテロ対策で各国と連携する国際組織犯罪防止条約が締結されず」と言うのも同じ趣旨です。

ところで、法務省の説明などを読んでも、共謀罪(テロ等準備罪)の立法事実として政府与党が主張しているのは、テロの現実的危険性が高まっているという事柄ではなく、「この条約を批准しなければ国際的に批判され、批准するためには共謀罪新設が必要」ということが専ら言われています(前述したテロ発生の現実的危険性がないにも関わらず、テロ対策として共謀罪を新設しようとするその姿勢に強い疑問を感じますが、ここでは一旦置きます)。

しかし、政府与党が成立させようとしている共謀罪(テロ等準備罪)を国内で規定しなければ、本当にこの条約を批准することができないのでしょうか。

国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約第34条は、これに関する規定をしています。

 

第三十四条 条約の実施
1 締約国は、この条約に定める義務の履行を確保するため、自国の国内法の基本原則に従って、必要な措置(立法上及び行政上の措置を含む。)をとる。(以下略)

つまり、日本は日本の法律の基本原則を逸脱するような措置をする必要はないのです。もし共謀罪(テロ等準備罪)が日本の刑法体系を逸脱したり矛盾したりするなら、条約批准のためにそのようなものを設ける必要はない、と条約は言っているのです。そして、後ほど述べる通り、共謀罪(テロ等準備罪)は日本の法律の基本原則に反します。

そもそも各国が行う条約の批准について、国連がその適否を審査するわけではなく、またこの条約上も締約国会議が審査するともされていません。つまり、各国が一方的に批准の意思表示をすれば足りるので、現状で批准の障害となるものはありません。この条約を批准していない先進国はごくわずかであり、批准しないと国際的に批判を受ける可能性はあります。しかし、批准できないのは国内に共謀罪がないからではなく、内閣が国会の承認を経て批准の意思表示を行わないからに過ぎません。

また、この国際組織犯罪防止条約以外の条約で、各国に立法措置を求めているにもかかわらず、日本はその立法措置を行わないまま条約を批准しているものすらあります。例えば、人種差別撤廃条約です。この条約は「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」「人種差別の扇動」等について処罰立法措置をとることを義務づけていますが、日本はこれを留保したまま条約を批准しています *6ヘイトスピーチを処罰するような法律は日本にはありませんが、この条約を政府は批准しているのです。なぜ、国際組織犯罪防止条約についてだけ、共謀罪を成立させないと批准できない、と言い張っているのでしょうか。極めて疑問です。

 

諸外国の例

それでは、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を既に批准している他の国は、各国内で包括的な共謀罪の法整備を行っているのでしょうか。もしそうであれば、日本政府が共謀罪の新設を行わなければ条約を批准できないというプレッシャーを国際社会から受けていると言えなくもないかも知れません。

これについては、日弁連が調査をしています。それによれば、米国、ブラジル、モロッコ、エルサルバドルアンゴラ、メキシコも、組織犯罪の関与する重大犯罪の全てについて共謀罪の対象としていないことを認めているそうです。特に米国においては、州刑法の中には共謀罪が極めて限定的で条約の要求する処罰範囲が確保されていないことを前提にしつつ、州での立法をせずに批准に際し留保(条約の特定の規定に関して自国についての適用を排除・変更する目的をもって行われる一方的宣言)を行っています。

 

国際組織犯罪防止条約はテロ対策ではない

そもそも、共謀罪(テロ等準備罪)新設の理由としている国際組織犯罪防止条約は、テロ対策を念頭に置いて成立した条約ではなく、マフィア等の国際組織犯罪への対処を目的としたものでした。条約の採択は2000年(平成12年)であり現在とは国際情勢が大きく異なります。アメリカで起きた9.11のテロ事件も2001年の出来事であり、条約採択後のことです。

条約の中身を見ても、犯罪収益の洗浄や司法妨害等についての対処が中心となっており、テロリズムに焦点は当てられてはいません。しかも、2020年東京でのオリンピック開催が決定したのは2013年で、それ以前に政府与党は共謀罪法案を3度国会に提出しています。そもそも、国内でのテロ対策という理由は共謀罪の立法事実としてはほとんど考慮されてこなかったのです。

にもかかわらず、その後の諸外国でのテロの蔓延や、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催にあたりテロ対策が重要だとして、この条約を引き合いに出すのは、あまりにもご都合主義です。

 

国民への欺瞞だけでなく国際社会への欺瞞でもある

政府は長年にわたり、共謀罪を新設しなければ国際組織犯罪防止条約を批准できない、としてほとんどの先進国が批准しているこの条約を批准しないできました。しかし、これまで見てきた通り、共謀罪新設なしに条約を批准することは可能であり、諸外国の例からも共謀罪がないことを理由に批准しないことには合理性はありません。他の条約においては留保の上批准をしているにもかかわらず、この条約だけ批准しないのは一貫性を欠いています。共謀罪新設の根拠としてきたこの条約に対する態度は、共謀罪新設という目的のために条約を利用しているのではないかという疑義すら感じます。

このような態度は日本国民を欺くのみならず、強力を求める国際社会への欺瞞ですらあると私には感じられます。

 

結論:立法事実の存在は疑わしい

このように見ていくと、

 

  1. 日本国内においてこれまでになかった新たなテロの現実的危険性は確認できない。
  2. 現行法においても重大犯罪の準備行為について摘発・処罰は十分可能。
  3. 国際組織犯罪防止条約は包括的な共謀罪(テロ等準備罪)の新設なしに批准可能である。

ということから、共謀罪(テロ等準備罪)を新設する法改正を行うような立法事実はない、つまり法改正をする必要はないと考えられます。

 

刑法の基本原則や憲法との関係

次に、共謀罪(テロ等準備罪)と刑法の基本原則や憲法との関係を検討します。

 

刑法の基本原則と憲法

 

内心を処罰する共謀罪(テロ等準備罪)

刑法は、処罰の対象を外部から客観的に認識できるような「行為」のみに限定し、何かを心の中で考えただけの場合それが例え「悪い」内心であっても処罰しないとしています。これは憲法19条で思想・良心の自由を絶対的に保障している日本国憲法の大原則が基礎にあります。

共謀は、二人以上の犯罪を行うという意思の合致ですが、それが共謀罪(テロ等準備罪)に該るかどうかを決めるのは、その合意の内容です。その合意の内容とは、人の内心にのみ存在するものである以上、共謀罪(テロ等準備罪)は内心そのものを処罰の対象とするものと言わざるを得ません。これは絶対的自由を保障する憲法19条の思想・良心の自由と真っ向から矛盾します。

 

危険性のない段階で処罰

また、先に見たように、刑法は既遂処罰を原則とし、例外として未遂を罰し、より例外的なものとして予備を罰し、非常に重大な法益に対するものについてだけ共謀を罰しています。これは、「悪い」内心が内心にとどまらず行為として表れた場合でも、それを直ちに罰するのではなく、法益侵害やその可能性がない限り罰しない、という刑法の姿勢を表しています。

なぜなら、刑罰を科するということは、人の自由・権利を強力に制限するものであるため、できるだけ必要最低限のものに限らなければならない、という「刑法の謙抑性」の考え方に基づいているものです。これは、フランス人権宣言の時代からある近代法の基本原理の一つです。より有り体に言えば、なんでもかんでも犯罪にすべきではなく、犯罪にしなくて済むものは犯罪にすべきではなく他の手段を使うべきだ、といったものでしょうか。

この考え方に基づいて、日本の刑法はきちんと法的侵害の度合い、危険性に応じて、既遂→未遂→予備→共謀といった順に原則→例外という体系をとって犯罪を規定しています。

しかし共謀罪(テロ等準備罪)はこの原則を無視して、一気に「共謀」を広く罰するように変更しようとしています。これは近代刑法の原則に真っ向から対立するものです。

 

要件を加えても問題は解決しない

過去の修正案と現時点での報道を踏まえると、当初「共謀」のみをもって犯罪が成立するように規定していた政府与党も、「共謀」だけではなく、「共謀者のいずれかが犯罪準備行為を行うこと」を要件に加えるものとしました。これで一見、内心のみを処罰するものとは異なると主張できるように見えます。

しかしこの犯罪準備行為は過去の法務省の説明によれば「犯罪の実行に向けた具体的な行為」とされているだけで、法益侵害の危険性との関連で設定される要件ではありません。つまり、要件として加えられる準備行為自体が持つ法益侵害の危険性は問わないといのが政府の見解です。一方で、刑法が例外的に罰する予備罪における予備行為については、法益侵害の危険性が高まったことを客観的に判断する必要があることは学説判例の蓄積によって確立しています。

つまり、準備行為が必要との修正がされたとしても、それは予備罪におけるような法益侵害の危険性が問題とならないことから、「共謀」があったとさえすれば、どのような行為でも「準備行為」だと認定されてしまう危険性があるのです。

結局のところ、「共謀」の中身との関係で何らかの行為を捉えれば共謀罪(テロ等準備罪)が成立するとされかねない曖昧な要件に過ぎず、このことからすれば、この要件を加えたところで「共謀」という人の内心にのみ存在するものを直接処罰しようとする共謀罪(テロ等準備罪)の本質は変わりません

 

誰かが準備すれば処罰される可能性

政府与党案によれば、共謀があり、共謀者のいずれかが犯罪準備行為を行えば、共謀に加わった者は処罰されるものとしています。しかしながら、先にみたように「犯罪準備行為」は法益侵害の危険性が高まったかどうかと無関係な要件であり、何を行えばこれに該当するのかは曖昧です。

そのような中で、人の内心にある「共謀」に着目して検挙されたある人が、自分が認識していなかった「犯罪準備行為」をメンバーの誰かがしただけで、共謀罪として処罰されるのが政府与党案です。これによれば、たとえば30人のグループで何か相談があった中で、その中の1人の行った行為を「犯罪準備行為」と認定すれば、共謀罪となる可能性すらある、ということです。

共謀罪をテロ等準備罪と言い換えて、犯罪準備行為を要件に加えたとしても、「共謀」とされる話し合いに加わっただけで何らの準備行為に関わっていない人間からすれば、「準備罪」ではなく「共謀罪」そのものであり、内心そのものに着目してそれを処罰するものになってしまいます。

 

結論:法体系を揺るがし人権を侵害しかねない

日本の刑法が、予備罪ですら例外中の例外とし、共謀を罰するのは数個の犯罪に過ぎないとしているのは、近代刑法の原則や日本国憲法の保障する思想良心の自由をしっかりと踏まえた上でのことです。

これに対し、共謀罪(テロ等準備罪)は、現時点で政府与党が言うような準備行為の要件を加えたとしても、結局は法益侵害の危険性が高まったかどうかとは無関係な、内心そのものへの処罰という性質を免れないと思います。これでは日本の刑法の謙抑性、日本国憲法における思想・良心の自由をとは相容れないものとして許されないのではないかと思います。

そして、先に述べた国際組織犯罪防止条約第三十四条では「自国の国内法の基本原則に従って」とあるのですから、この条約を理由に共謀罪(テロ等準備罪)を新設する理由にはならないということも、ここで重ねて言えます。

 

現実問題として全ての人に関係が生じそうな捜査の問題

 

監視、盗聴という捜査手法が正当化される

ここまでは、共謀罪(テロ等準備罪)が内心そのものを処罰するのと変わらないという点や、その成立要件が曖昧であることなどを書いてきましたが、それよりも最もこの法案が成立した場合に心配されるのは、共謀罪(テロ等準備罪)摘発のための捜査に関してです。

通常の犯罪捜査においては、何がしかの客観的な犯罪結果や、外から認識できる犯罪行為を追っていくことになります。それは例えば犯罪被害の状況であったり、犯罪現場に残された容疑者の痕跡(持ち物や足跡、指紋など)から、容疑者を追っていき特定していくという手法です。捜査官が追うのは、もちろん、証人や容疑者本人からの証言、自白等もありますが、その主なものは外から認識できる犯罪結果や犯罪行為等の証拠、つまり、客観的に痕跡が残るものです。

しかし、共謀罪(テロ等準備罪)は、共謀、つまり話し合いをして犯罪を実行することを合意したことそのものが犯罪となるので、その捜査の対象は話し合いそのものとなります。とすれば、捜査当局が「組織犯罪集団」との疑いを持つ集団に対しては、日常的に監視し、あるいは話し合い自体を盗聴しなければ、有効な捜査はできません。そしてまた、共謀の段階では、具体的な行為によって法益侵害の危険性は高まっていないので、共謀そのものを危険なものとして捜査対象とするしかないとも言えます

とすれば、実際に危険があるかどうかもわからない段階で、捜査機関が「組織犯罪集団」との疑いをもちさえすれば、監視や盗聴が正当化される可能性が高いということです。

 

2016年刑事訴訟法改正による盗聴対象の拡大との関係

2016年に刑事訴訟法が改正される以前は、盗聴という捜査手法は、薬物、銃器、組織的殺人などいわゆる暴力団関係の組織犯罪4類型を対象とする捜査に限定されており、なおかつ、通信事業者の常時立ち会いが義務付けられていました。ところが昨年の改正によって、盗聴の対象となる犯罪は窃盗、詐欺、恐喝、逮捕監禁、傷害等の一般的な刑法犯を含む広い範囲にまで拡大されました。さらに、通信事業者の立ち合いも不要となっています。

この法改正自体、1999年に世論の反対に配慮して適用対象を限定せざるをえなかったものを、2016年になって解除したものと言え大きな問題がありますが、さらに、今回の共謀罪(テロ等準備罪)が成立すれば、より盗聴は蔓延ることになるでしょう。通常の犯罪の場合は、その犯罪に関わる嫌疑等との関連で盗聴の必要性等が少なくとも勘案されますが、共謀罪は共謀そのものが犯罪行為とされるため、盗聴の必要性は容易に認められてしまう可能性が高いからです。

 

司法取引制度との関係

また、同改正で成立したものの中に司法取引制度があります。これは、他人の犯罪の立証に協力する代わりに自分の罪の減免をしてもらうよう検察官と合意をするものです。

共謀罪(テロ等準備罪)はその性質上、話し合い内容を立証する場合に、共謀に参加したとされるものの証言は重要なものと扱われるでしょうが、司法取引制度と共謀罪(テロ等防止罪)の自首減免制度を悪用すれば、虚偽の密告と自白をすることで、誰かを共謀罪へと陥れることも不可能ではありません。一方で、このような場合に、冤罪にさらされる側は犯罪事実がないことの反証をすることは容易ではありません。

共謀罪(テロ等準備罪)と司法取引の組み合わせは、新たな冤罪の強力な温床となる可能性があると思います。

 

一般人には関係ないという説明について

テロ等準備罪についての政府与党の説明の中に、「一般人は対象外」というものがあります。

 

政府が検討しているのはテロ等準備罪であり、従前の共謀罪とは別物だ。犯罪の主体を限定するなど(要件を絞っているため)一般の方々が対象になることはあり得ない

共謀罪「一般人は対象外」=菅官房長官:時事ドットコム

しかし、組織犯罪集団の構成員であるとか、犯罪予備・共謀をしたのだとか、そのような認定を当局からされるまでは誰もが「一般人」です。一方で、そのような認定を当局からされてしまえば、その途端に菅官房長官のいうような「一般人」ではなくなるわけです。

ここで大切なことは、当局の認定というのは裁判を経た有罪判決ではない、ということです。裁判手続きを経て有罪判決を受ける前に、テロ等準備罪の捜査の対象となるかどうかを認定するのは、主に警察当局であり、その認定は正式な裁判手続きではない多分に恣意が入る可能性のあるものです。

そもそも、テロ防止を目的としてテロ等準備罪を新設するのである以上、その対象は暴力団暴力団の構成員ではありません。テロリストです。そして諸外国のテロ事件の例を見れば、テロリストは一般人と変わらぬ生活をしていることも多いです。そのようなテロリストをテロ等準備罪で摘発するためには、一般人にも広く嫌疑をかけるしか方法はありません。つまり、テロ等準備罪は本来、一般人を捜査の対象とすることを認めなければ意味のないものなのです。

誤った起訴がされても必ず無罪になる、冤罪は発生しない、という脳天気な裁判所への信頼を前提にしたとしても、先の述べたように、共謀罪(テロ等防止罪)は、捜査手法として監視と盗聴を広く求めるものです。もし、百歩譲って「一般人」が直接の捜査対象にならないとしても、監視・盗聴は犯罪事実だけを対象とするものではなく、多くの犯罪事実とはならない行動や会話をも対象とせざるを得ないものなので、「一般人」も警察当局からの監視を常に受けてしまう可能性もあります。

いずれにせよ、「一般人は対象外」という説明は欺瞞です。加えて、先に述べた刑訴法の改正を見てもわかるように、世論の反対が強い事項については、最初は小さく立法しておいて後で対象を拡大しなし崩し的に何でもできるようにする、というのは従前からの手法とも言えます。一度、法案が通過したら、それを廃止するのはおろか、拡大を止めることも難しくなるのは容易に想像できるはずです。

 

まとめ

以上見てきたように、共謀罪(テロ等準備罪)については、テロ対策という観点からも必要性は非常に疑わしく、さらに、国際組織犯罪防止条約との関係でも新設の必要性はありません。

他方、共謀罪(テロ等準備罪)が新設されれば、現在聞こえているような修正を加味したとしても、日本国憲法の思想良心の自由や、刑法の基本原則と対立し、曖昧な要件の下で幅広い犯罪を成立させる可能性のある危険なものです。

そして何よりも、共謀罪(テロ等準備罪)の新設は、昨年の刑訴法改正とも相まって、国民生活に対して加速度的に盗聴による捜査が入り込んだり、冤罪を増やしてしまうような結果を招く危険性が非常に高いと思われます。

何よりも、立法に関しては、その立法の本来の目的、建前ではなく法案を何としても通過させたい勢力の思惑をよく理解する必要があります。それは主観的な思い込み、推測では足りませんが、法案の提出過程や修正過程を追って行けばわかるはずです。

この記事の中で、最初に修正前の政府案を上げたのは、この共謀罪(テロ等準備罪)の目的がどこにあるのかが良くわかるから、という意味もありました。再度ここに掲載します。

 

(組織的な犯罪の共謀)
第六条の二
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
 一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
 二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

ここには、共謀罪成立を願う側の望みが端的に表れています。彼らは、ほとんど対象を限定せずに、共謀罪が成立するものとしたかったのです。

それは、誰もかれもを犯罪で罰したいからとは限りません。犯罪そのものの成立よりも、「共謀が行われているのではないか」という嫌疑の下に広く捜査活動を行える根拠が欲しいのかも知れません。もちろん、いざとなれば立件できますが、そうでなくてもターゲットを決めれば、盗聴・監視を合法的に行えるような法的基礎を手に入れたい、その執念が、今この高い政権支持率の中で今結実しようとしているのです。

共謀罪(テロ等予備罪)の成立によって不当に人権を制約される可能性のあるのは、いわゆる左翼、労働組合、社会運動等に関与している人々だけではありません。あなたが右翼であれ、特別な政治的立場を自覚していない人であったとしても、もしこの法案が成立したなら、この2017年を日本社会が暗い方向へと向かった年として思い出すことになるかも知れません。

 

繰り返しますが、テロ対策という建前とは関係なく、この共謀罪(テロ等準備罪)は、政府当局がその気になりさえすれば国民の誰を監視対象にしても許されるとするものです。誰でもです。あなたがどんな政治的立場にあろうと、まっとうに暮らしていようとです。

 

 

 

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治安維持法によるあらたな取締対象を開拓

 1937年6月の思想実務者会同で、東京地裁検事局の栗谷四郎が、検挙すべき対象がほとんど払底するという状況になっている状況を指摘し、特高警察と思想検察の存在意義が希薄化させるおそれが生じている事に危機感を表明した。

(1935年から1936年にかけて、予算減・人員減があった)

 そのため、あらたな取締対象の開拓がめざされていった。 

 

治安維持法適用対象を拡大し、宗教団体、学術研究会(唯物論研究会)、芸術団体なども摘発されていきます。

 

 1940年1月 「生活図画事件」
(生活綴方教育が「子どもに資本主義社会の矛盾を自覚させ、共産主義につながる」として、教員らが一斉検挙される事件が起きる。逮捕されたのは、五十六人ともいわれる。)


 1940(昭和15)年の第二次近衛内閣に至り,先の総動員本部は解散されて,生活組織を基礎に全国民を対象とする 大政翼賛会 の組織による運動が実施されることになった。

・・・

 1937(昭和12)年7月には,すでに,教学刷新の中心機関である 教学局(1928年の学生課) が文部省外局として設置され, 学問研究に対する統制 の中枢をなした。

・・・

算数の役割を「数理思想の滴養」(「国民学校令施行規則」)に置き,本来,科学的精神の精髄である 批判的精神を除却(除去)し た合理的精神の涵養(水が自然に土に浸透するように、出しゃばらずに ゆっくりと 国家方針に合った思想を養い育てること)が求められたのであった。

・・・

戦前の国民的な心理,意識,生活を支配し,規制していたものは, 国体論と精神主義を柱とする天皇イデオロギーであり,
それはあらゆる非科学性の根源であった。
また同時に,それは国家存立の根幹であるとみなされていたからである。
 科学は明治以降の外来,輸入のものであり.日本の伝統や国粋とはなじまぬもので,日本の欧米化を促進するもとになるという危惧の念があったと思われる。
 したがって,科学は少数の研究者に委ね,国民多数にとって必要で 大切なのは,科学的知識よりも忠孝の道である ,という認識であった。

 

1945年

 占領軍の指揮官のマッカーサーは、日本の徹底改革&天皇制維持の姿勢を決めていた。ワシントン政府は、日本の改革・天皇制いずれにもフラフラしてた。結局はマッカーサーが独断専行で決めていく。

 そのマッカーサーを、日本国民は熱烈歓迎する。
ここで労働基準法を作り組合活動を合法化し、戦前・戦中に拘束されていた社会主義者・共産主義者が釈放される

1945年10月4日、

 マッカーサーから治安維持法共謀罪)の廃止を要求された日本の東久邇内閣は、それを拒絶し総辞職した。

 すなわち、日本の支配層は、敗戦後に、弾圧した国民の復讐を恐れ、日本占領軍に逆らってでも治安維持法を守ろうとした

 

 しかし、戦後にアメリカから与えられた民主主義体制によって日本の治安が良好に保たれたので、

戦前の治安維持法共謀罪)も、共産主義者の暗殺行為も、思想善導も必要無かった。

 

「児童を保護するため」と言った児童ポルノ規制法は、実際は、

「児童ポルノ単純所持罪は児童を逮捕するための法律かも」

でした。

(このグラフの元データは、警察庁の生活安全の確保に関する統計のうち、「平成25年中の少年非行情勢について」の報告による)

 

同様に、「国民をテロから保護するため」と言うテロ準備罪は、

「国民を逮捕するための法律」のようです。

 

また自民党は、テロ準備罪(治安維持法)の成立に向けて、以下の憲法改悪案で運用したいと考えているようです。

憲法36条)公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

自民党案では:「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、これを禁ずる。」に変えます。
テロ準備罪(治安維持法)の運用等で止むお得ないと総理大臣(安倍)が判断した場合は、拷問を許可するようです。 

 

 

治安維持法――なぜ政党政治は「悪法」を生んだか(その2)  

 

あらたな取締対象を開拓

 1937年6月の思想実務者会同で、東京地裁検事局の栗谷四郎が、検挙すべき対象がほとんど払底するという状況になっている状況を指摘し、特高警察と思想検察の存在意義が希薄化させるおそれが生じている事に危機感を表明した。

(1935年から1936年にかけて、予算減・人員減があった)

 そのため、あらたな取締対象の開拓がめざされていった。

 

治安維持法適用対象を拡大し、宗教団体、学術研究会(唯物論研究会)、芸術団体なども摘発されていきます。